【はじめてのPTA① PTA、じつは任意です】

前半は【はじめてのPTAシリーズ】第一回目として、いま各地でPTA改革が進む背景にある「じつは任意」という基本をお伝えします。後半の【気になるトピック】では、最近テレビで見た、戦後すぐの保護者の映像(1946年)について取り上げます。
大塚玲子 2026.04.05
誰でも

今月から【はじめてのPTA】シリーズとして、PTAに足を踏み入れたばかりの方、特に会長や役員さんになりたての方に向けて、PTAの基本的な情報を、なるべくコンパクトにお届けします。<第1回/全3回予定>

【はじめてのPTA①】PTA、じつは任意です

PTAってメディアでよく話題になるけど、何がそんなに問題なの? と思っている方に、まず「PTAは、じつは任意」という前提からお伝えしておきましょう。

*「全員必ずやるもの」――義務と思われてきたPTA

これまで多くのPTAは、「加入」も「活動」も、実質的に強制でした。子どもが入学すると保護者を自動的に会員として扱い、会費を集める(いわゆる自動・強制加入)。着任した教職員に対しても同様です。

保護者に対しては「各クラスから必ず何人の委員を出す」「全員、6年間に必ず一度は委員をやる」といった、活動の義務も課されてきました。

お察しの通り、このやり方にはムリがあります。日本でPTAが形づくられた昭和の時代と違い、いまは共稼ぎかひとり親世帯が大半です。少数派となった専業主婦や主夫にもそれぞれ事情があり、時間に余裕がある保護者はごく少数です。

そのためここ数十年、保護者、主に母親たちからは悲鳴のような声が上がってきました。役員決めは押し付け合いになることが多く、ときには泣く人も出てきたのでした。

*「入会していない。お金を返して」という訴訟

でもPTAって本来、入るのも活動するのも、じつは任意です。社会保険や弁護士会などと違い、加入を義務づける法的根拠は何もないのです。

「PTAは、じつは任意」という事実は、ここ15年くらいでだいぶ知られるようになりました。そこで最近は改革を行い、「任意」を前提とした運営に切り替えるPTAもだいぶ増えています(学校差・地域差がとても大きいのですが)。

加入については、入会届などで本人の意思を確認し、そのうえで会費を徴収する。

活動に関しては、「必ず何人が委員をやる」といったルールをやめ、希望者だけで活動する仕組みに切り替える。そんな話を、そこここで聞くようになりました。

ただし、加入の任意は、活動の任意と比べると、やや遅れている印象です。理由はいろいろあると思いますが、入会意思を確認すると、集まる会費が減ってしまうことも一因でしょう。

でも、法的なリスクはこちらのほうが上です。入会意思を確認せずに会員として扱うということは、つまり相手の同意なしに会費=お金をとるということ。実際、ほかの団体はこういうやり方をしないですよね。

PTAに対する訴訟や調停が起きているのは、そのためです。最近はPTAに対し、保護者や教職員が「そもそも入会していないので、これまでに徴収された会費を返してほしい」と訴える例を散見するようになりました。一番有名なのは、2014年に熊本で起きた裁判です。

これまでのところどれも和解か棄却に終わっていますが、裁判になるようなことは、しないほうがいいでしょう。

*他団体に個人情報を使わせる校長のリスク

従来型のPTAの加入方法には、もうひとつ法的なリスクがあります。

入会意思を確認しないまま、保護者や教職員を会員として扱うためには、PTAは学校がもつ保護者や教職員の個人情報(連絡先や銀行口座等)を使う必要があります。でもPTAと学校はあくまで別団体ですから、このやり方も問題があるわけです。

そのため最近は、校長先生が刑事告発される話もちらほら聞きます。学校が持つ個人情報を本人の許可なくPTAに伝えたことで保護者から告発され、地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで書類送検されているのです(起訴されたケースはまだなさそうですが)。

PTA側も、他団体である学校が持つ個人情報を不適切なやり方で入手・使用すれば責任が生じます。慣習として黙認されてきましたが、PTA以外の団体が同じことをすれば、ニュースになるでしょう。

*変えられそうなところから、ちょっとずつでも

法律の話を持ち出して、こわがらせちゃったら、ごめんなさい。でも、泣く人が出るような仕組みというのは、法的にも問題があるものです。たとえ訴訟や告発が起きなくても、毎年困る人が出るような仕組みは、見直す必要があるでしょう。

「任意」を前提に運営しない限り、PTAに悩む人はこれからも出続けます。筆者が一番問題だと思うのは、そのことです。

ゆっくりでもいいので、変えられそうなところから変えていけたらいいな、と思います。会長や役員さんに限らず、保護者も教職員も、PTAにかかわるみんなで。

そのために役立つ情報を、これからもお伝えしていければと思います。

【おまけ】

AIに「デベート」音声解説をつくってもらいました。デベートって、ほんとに言ってるんですよ…。「法的リスクの話を書いてるけど、私はやっぱり辛い人が出るのが一番よくないと思うので、そこも拾ってね」とお願いしたら、ひとりが「法的リスクが問題」という立場、もうひとりが「辛い人が出ることが問題」という立場で議論してくれました。ほう。

***

【気になったトピック】

3/30にたまたま見たNHKの午後の番組で、敗戦直後の昭和21年、世田谷区の国民学校の保護者たちの様子を伝えるニュース映像が紹介されていました。

映像によると、当時は大変な食糧難で、給食がなくなるかもしれないという危機に瀕し、学校で「話し合い」が行われたと。先生が壇上から保護者たちに危機を訴え、これを受けて父親の一人が「私たちは“父兄”として全面的に協力します」などと応じています。

いろいろと興味深い映像でしたが、私が気になったのは、集まった保護者の男女比でした。どっちが多いのか? 何度か繰り返し観たのですが、うーんやっぱり母親か? でも父親もまあまあいるように見えます。

いや、日本のPTAっていつから女性ばかりなのか、気になっていたのです。最初から、というイメージがありますが、戦後しばらくは戦前の学校後援会のなごりもあり、父親もそこそこ顔を出したんじゃないのかな?と思って(戦前・戦中から続く性別役割分担はそのままあったかと思うのですが)。

これは1946年、PTAができる少し前の映像ですが、PTAができた当初も、これくらいの比率だったのか? だとしたら、いつ頃から父親が消えていったのか? それとも、このときは「国に要望を!」みたいな主旨の集まりだったから、父親も多かったのか? 

当時のニュース映像をもっと見れば、その辺りがわかるかな? と思ってNHKアーカイブスに問い合わせてみましたが、学校の保護者が映っている映像を検索する、みたいなことはできないらしく、片っ端からみるしかなさそうでした。それはちょっとむり。あきらめました。

3/30の番組は、NHK ONEで4/7(火)の15時頃まで見られるようです。国民学校の保護者が出てくる場面は、34分の辺りから。ご興味ある方はどうぞ。

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