【はじめてのPTA① PTA、じつは任意です】
今月から【はじめてのPTA】シリーズとして、PTAに足を踏み入れたばかりの方、特に会長や役員さんになりたての方に向けて、PTAの基本的な情報を、なるべくコンパクトにお届けします。<第1回/全3回予定>
【はじめてのPTA①】PTA、じつは任意です
PTAってメディアでよく話題になるけど、何がそんなに問題なの? と思っている方に、まず「PTAは、じつは任意」という前提からお伝えしておきましょう。
*「全員必ずやるもの」――義務と思われてきたPTA
これまで多くのPTAは、「加入」も「活動」も、実質的に強制でした。子どもが入学すると保護者を自動的に会員として扱い、会費を集める(いわゆる自動・強制加入)。着任した教職員に対しても同様です。
保護者に対しては「各クラスから必ず何人の委員を出す」「全員、6年間に必ず一度は委員をやる」といった、活動の義務も課されてきました。
お察しの通り、このやり方にはムリがあります。日本でPTAが形づくられた昭和の時代と違い、いまは共稼ぎかひとり親世帯が大半です。少数派となった専業主婦や主夫にもそれぞれ事情があり、時間に余裕がある保護者はごく少数です。
そのためここ数十年、保護者、主に母親たちからは悲鳴のような声が上がってきました。役員決めは押し付け合いになることが多く、ときには泣く人も出てきたのでした。
*「入会していない。お金を返して」という訴訟
でもPTAって本来、入るのも活動するのも、じつは任意です。社会保険や弁護士会などと違い、加入を義務づける法的根拠は何もないのです。
「PTAは、じつは任意」という事実は、ここ15年くらいでだいぶ知られるようになりました。そこで最近は改革を行い、「任意」を前提とした運営に切り替えるPTAもだいぶ増えています(学校差・地域差がとても大きいのですが)。
加入については、入会届などで本人の意思を確認し、そのうえで会費を徴収する。
活動に関しては、「必ず何人が委員をやる」といったルールをやめ、希望者だけで活動する仕組みに切り替える。そんな話を、そこここで聞くようになりました。
ただし、加入の任意は、活動の任意と比べると、やや遅れている印象です。理由はいろいろあると思いますが、入会意思を確認すると、集まる会費が減ってしまうことも一因でしょう。
でも、法的なリスクはこちらのほうが上です。入会意思を確認せずに会員として扱うということは、つまり相手の同意なしに会費=お金をとるということ。実際、ほかの団体はこういうやり方をしないですよね。
PTAに対する訴訟や調停が起きているのは、そのためです。最近はPTAに対し、保護者や教職員が「そもそも入会していないので、これまでに徴収された会費を返してほしい」と訴える例を散見するようになりました。一番有名なのは、2014年に熊本で起きた裁判です。
これまでのところどれも和解か棄却に終わっていますが、裁判になるようなことは、しないほうがいいでしょう。

*他団体に個人情報を使わせる校長のリスク
従来型のPTAの加入方法には、もうひとつ法的なリスクがあります。
入会意思を確認しないまま、保護者や教職員を会員として扱うためには、PTAは学校がもつ保護者や教職員の個人情報(連絡先や銀行口座等)を使う必要があります。でもPTAと学校はあくまで別団体ですから、このやり方も問題があるわけです。
そのため最近は、校長先生が刑事告発される話もちらほら聞きます。学校が持つ個人情報を本人の許可なくPTAに伝えたことで保護者から告発され、地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで書類送検されているのです(起訴されたケースはまだなさそうですが)。
PTA側も、他団体である学校が持つ個人情報を不適切なやり方で入手・使用すれば責任が生じます。慣習として黙認されてきましたが、PTA以外の団体が同じことをすれば、ニュースになるでしょう。

*変えられそうなところから、ちょっとずつでも
法律の話を持ち出して、こわがらせちゃったら、ごめんなさい。でも、泣く人が出るような仕組みというのは、法的にも問題があるものです。たとえ訴訟や告発が起きなくても、毎年困る人が出るような仕組みは、見直す必要があるでしょう。
「任意」を前提に運営しない限り、PTAに悩む人はこれからも出続けます。筆者が一番問題だと思うのは、そのことです。
ゆっくりでもいいので、変えられそうなところから変えていけたらいいな、と思います。会長や役員さんに限らず、保護者も教職員も、PTAにかかわるみんなで。
そのために役立つ情報を、これからもお伝えしていければと思います。
【おまけ】
AIに「デベート」音声解説をつくってもらいました。デベートって、ほんとに言ってるんですよ…。「法的リスクの話を書いてるけど、私はやっぱり辛い人が出るのが一番よくないと思うので、そこも拾ってね」とお願いしたら、ひとりが「法的リスクが問題」という立場、もうひとりが「辛い人が出ることが問題」という立場で議論してくれました。ほう。
【気になったトピック】
3/30にたまたま見たNHKの午後の番組で、敗戦直後の昭和21年、世田谷区の国民学校の保護者たちの様子を伝えるニュース映像が紹介されていました。
映像によると、当時は大変な食糧難で、給食がなくなるかもしれないという危機に瀕し、学校で「話し合い」が行われたと。先生が壇上から保護者たちに危機を訴え、これを受けて父親の一人が「私たちは“父兄”として全面的に協力します」などと応じています。
いろいろと興味深い映像でしたが、私が気になったのは、集まった保護者の男女比でした。どっちが多いのか? 何度か繰り返し観たのですが、うーんやっぱり母親か? でも父親もまあまあいるように見えます。
いや、日本のPTAっていつから女性ばかりなのか、気になっていたのです。最初から、というイメージがありますが、戦後しばらくは戦前の学校後援会のなごりもあり、父親もそこそこ顔を出したんじゃないのかな?と思って(戦前・戦中から続く性別役割分担はそのままあったかと思うのですが)。
これは1946年、PTAができる少し前の映像ですが、PTAができた当初も、これくらいの比率だったのか? だとしたら、いつ頃から父親が消えていったのか? それとも、このときは「国に要望を!」みたいな主旨の集まりだったから、父親も多かったのか?
当時のニュース映像をもっと見れば、その辺りがわかるかな? と思ってNHKアーカイブスに問い合わせてみましたが、学校の保護者が映っている映像を検索する、みたいなことはできないらしく、片っ端からみるしかなさそうでした。それはちょっとむり。あきらめました。
3/30の番組は、NHK ONEで4/7(火)の15時頃まで見られるようです。国民学校の保護者が出てくる場面は、34分の辺りから。ご興味ある方はどうぞ。
すでに登録済みの方は こちら
